ジェームス・スキナーの「心をひらく」の感想と評価
書籍名 | 心をひらく |
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価格 | 1,400円+消費税 |
内容 | 【PART1】願いはかなう心の連続体の発見心をひらく【PART2】自分の心をひらく熱意をもとう!苦難を受け入れよう!武蔵に学ぼう!雨が降ったら傘をさそう!くもりのない心で毎日を過ごそう!【PART3】人の心をひらく相手目線で考えよう!褒め言葉で終わるようにしよう!人を信頼しよう!簡単に許そう!感謝をせよ!【PART4】社会の心をひらく模範になろう!教育に徹しよう!社会に奉仕せよ!大きなビジョンを示そう!【PART5】正しい生き方へすべてが可能に |
私の感想と評価
これまでのジェームス・スキナーの書籍は、ジェームス・スキナー自分自身の考えやノウハウを著したものでした。
それに対して「心をひらく」は、あの松下幸之助さんの著書「道をひらく」をジェームス・スキナーが読み解いたものです。
書籍の構成として、松下幸之助さんの「道をひらく」にある言葉やエピソードを引用し、それに対してジェームス・スキナーが自身の見解を述べていくというものになっています。
比率として、松下幸之助さんの言葉1に対して、ジェームス・スキナーの見解が10という具合です。
また、特典映像として、ジェームス・スキナーがこの書籍の内容について行ったセミナー映像を収録したDVD(約50分間)が付いてきます。
そもそもジェームス・スキナーと松下幸之助さんの関係性は?という疑問が上がってくることだと思います。
お金の科学のDVDでも松下幸之助さんのエピソードを話しているシーンがあり、ジェームス・スキナーは古くから松下幸之助さんの大ファンだったそうです。
それゆえに出版社もこの書籍の企画の話をジェームス・スキナーにしたわけであり、ジェームス・スキナーもそれを断る理由はなく、むしろ喜んで引き受けたそうです(書籍冒頭の著者からの挨拶にてこの件について言及あり)。
私はもちろん松下幸之助さんは知っています。
しかし、彼の著者はこれまで一度も読んだことがなかったため、実際のところ「心をひらく」で初めて松下幸之助さんの考えについて知りました。
「心をひらく」の内容は完全に精神論です。
精神論と言うと固いイメージがありますが、言い換えるのなら経営者としての心の在り方を説いた内容です。
そこにノウハウやテクニック的な話は一切ありません。
なぜ松下幸之助さんはあれほどの巨大企業を作ることができたのか、その答えは心が豊かだったからです。
(松下幸之助は小学校中退のため教養もなく、家も貧しかった)
誰に対しても素直で、常に感謝の気持ちを持ち、寛大で、仕事に熱心に取り組むという当たり前のことを誰もできないレベルで長年実行してきたということがよく分かりました。
だからこそ、あれほど多くの人が、あれほど力のある人が彼の会社で働きたいと思い、また、多くの企業が彼の会社と取引をしたい、多くの人が彼の会社の製品を使いたいと思い、あれほどの繁栄を作ったわけです。
退職をした社員がもう一度働きたいと言ってきたとき、話を聞き、その場で出戻りを認め、仕事を早速与えたエピソードがあります。
その結果、この社員は強く感動し「この人のためなら死んでもいい」と思ったそうです。
普通ならば、「出戻りは認めん!」となるところ、松下幸之助さんは逆に社員の心をガッチリとつかんでしまいました。
このように人の心をつかみ、動かすエピソードがふんだんに盛り込まれており、それを知るだけでも鳥肌の立つ内容でした。
そして、これらのエピソードに対するジェームス・スキナーの見解はいつものとおりです。
彼独自の視点から人の心に刺さる、影響力のある言葉で松下幸之助さんの考えに色付けをしています。
また、ジェームス・スキナー自身が松下幸之助さんの「道をひらく」をどう活用してきたかもよく分かります。
詳細は書籍にゆずりますが、ノウハウでもマインドでもなく、「心の在り方」というもっとも人間の根本の部分をジェームス・スキナーから学ぶことができる「心をひらく」はこれまでの彼の作品とはまた違った意味で良い内容でした。
あくまでも「経営者が人の心を動かす」というものですが、内容が本質的なので、部下を持つ人など人の上に立つ人には多いに役に立つ1冊だと思います。